放浪篇読了
青春の門 筑豊篇、自立篇とつづいて放浪篇を読了。
自立篇で早稲田大学に入学した伸介は劇団にマネージャーとして入団して放浪篇となる。50年代でありなんでもかんでも左翼の学生運動に結びつける時代だから、劇団の活動も運動の一環である。劇団主宰の緒方によれば「上から民衆の側へあたえるという形で行なわれていた演劇活動を、逆に民衆の側から提出するという逆転的な形態」であり「中央から地方へという形を、反対に地方から中央へ」持ちこむ演劇を目指す。
具体的には、北海道で働きながらその経験をもとに演劇を製作して上演するという、ナロードニキ運動としての芝居となる。緒方は以前に中国地方で山村工作をして失敗しているのだが、懲りない男である。
伸介は緒方の考えに懐疑的であり、劇団員の中でも意見はさまざまである。自分の考えが誰に近いのかを考えながら読みすすむと、とたんにペースが遅くなる。わたしならどうするだろうか。そもそも劇団に参加せずに下宿で酒を呑んでいるだろう。
いまのわたしは少年ではない(いちよお)大人であるから、筑豊篇の性の目覚めや父を越えるというテーマは過去の自分を振りかえる郷愁として読むことができる。わたしがズッコケ3人組シリーズを好むのも同様の心持である。筑豊篇はすらすら読めたが、主人公の伸介が長ずるにつれてひりひりする感覚がして読むのが遅くなってくる。
放浪篇のあとは、
* 第四部 堕落篇
* 第五部 望郷篇
* 第六部 再起篇
* 第七部 挑戦篇
* 第八部 風雲篇(未単行本化)
と続くようだが、放浪篇以降は古本屋で見かけない。
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